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反転形成工法と製管工法の違いとは?
下水道の老朽化が全国的に進む中、近年ますます重要になっているのが「管更生工法」です。
その中でも、現場や設計協議でよく比較されるのが、
- 反転形成工法
- 製管工法
の2つ。
どちらも、
「道路を大きく掘らずに下水道管を再生する技術」
ですが、実際の現場では“かなり性格の違う工法”です。
しかも面白いのが、
「カタログでは分からない現場事情」
が結構あること。
今回は、
- 反転形成工法とは?
- 製管工法とは?
- 向いている管種
- 施工性
- コスト感
- 実際に困るポイント
まで、現場会社目線で分かりやすく解説します。
■ まず「管更生工法」とは?
管更生工法とは、
「古くなった下水道管の内部に、新しい管を形成して延命する技術」
です。
従来のように道路を大きく掘削せず施工できるため、
- 交通規制軽減
- 工期短縮
- コスト縮減
- 周辺環境への影響低減
など、多くのメリットがあります。
現在では、全国の自治体で当たり前のように採用されています。
■ 反転形成工法とは?
反転形成工法は、
樹脂を含浸させた更生材を、
“反転させながら”
既設管の内部へ押し込んでいく工法です。
イメージとしては、
「靴下を裏返しながら奥へ伸ばしていく感じ」
に近いです。
その後、温水や蒸気などで硬化させ、新しい管を形成します。
■ 反転形成工法の特徴
◎ 一体構造になりやすい
継ぎ目が少なく、高い止水性を確保しやすい。
◎ 長距離施工が得意
比較的長いスパンを一気に施工できるため、施工効率が良い。
◎ 中小口径に強い
特に中小口径管で採用されるケースが多い。
■ ただし現場では…
実際の施工では、かなり繊細な工法でもあります。
特に重要なのが、
- 樹脂管理
- 温度管理
- 圧力管理
- 硬化時間管理
です。
現場ではよく、
「夏場は時間との戦い」
になります。
気温が高いと硬化が早まり、施工条件がシビアになることも。
つまり、
“施工管理力が品質に直結する工法”
とも言えます。
■ 製管工法とは?
製管工法は、
既設管の内部で部材を組み立てながら、
“新しい管を作っていく”
工法です。
代表的なのは、
- スパイラル製管
- プロファイル製管
など。
帯状の材料を管内で連続的に組み上げ、新しい管を形成していきます。
■ 製管工法の特徴
◎ 大口径に強い
製管工法は、
- φ800以上
- 大口径幹線
- ボックスカルバート
などでも対応しやすい。
◎ 変形管にも対応しやすい
既設管の変形に柔軟に対応できるケースが多い。
◎ 流水対応しやすい
条件によっては、流水を完全に止めず施工できる場合もあります。
これは現場ではかなり大きなメリット。
■ 実際の現場では製管工法が強い場面も多い
特に大口径下水道では、
「人が入って施工する」
ケースも多くなります。
そうなると、
- 搬入
- 安全管理
- 作業スペース
- 流水処理
など、普通の管とは難易度が全然違います。
その点、製管工法は、
“現場対応力が高い”
ケースが多い。
特に、
- 長距離
- 大口径
- 変形管
- 流水あり
では強みを発揮します。
■ 反転形成工法と製管工法の違いを比較
| 項目 | 反転形成工法 | 製管工法 |
|---|---|---|
| 施工方式 | 更生材を反転挿入 | 管内で組立形成 |
| 得意管径 | 中小口径 | 中〜大口径 |
| 長距離施工 | 得意 | 条件による |
| 変形対応 | やや弱い | 比較的強い |
| 大口径対応 | 条件付き | 強い |
| 流水対応 | 制限あり | 対応しやすい |
| 止水性 | 高い | 工法による |
| 施工管理 | シビア | 現場調整しやすい |
■ コスト感はどう違う?
これはかなり質問されます。
ただ、本音を言うと、
「現場条件次第」
です。
例えば、
- 流水量
- マンホール条件
- 曲管
- 土被り
- 劣化状況
で大きく変わります。
■ 反転形成工法
比較的、
- 標準化しやすい
- 長距離施工で効率が出やすい
という特徴があります。
■ 製管工法
一方で、
- 条件対応力が高い
- 大口径対応力が強い
反面、
- 現場条件で費用変動しやすい
傾向があります。
つまり、
「工法だけでは決められない」
というのが現場のリアルです。
■ 実際に困るポイント
ここはカタログでは見えにくい部分。
■ ① 流水処理問題
下水道なので当然、水が流れています。
施工中は、
- 仮排水
- 水替え
- ポンプ管理
が必要。
しかも雨が降ると、一気に状況が変わります。
現場では、
「天気予報を何回も確認する」
のが普通です。
■ ② 搬入スペース問題
図面では問題なく見えても、
現場へ行くと、
- 機械が入らない
- 資材が搬入できない
- マンホールが狭い
というケースも。
下水道工事は、
“現場が答え”
です。
■ ③ 劣化が想定以上
調査時には見えなかった、
- 空洞化
- 腐食
- 崩落リスク
が施工時に発覚することもあります。
だからこそ重要なのが、
「調査+補修を一体で考える」
という視点です。
■ 結局、どちらが良いのか?
答えはシンプルです。
「現場条件による」
これに尽きます。
- 管径
- 劣化状況
- 流水条件
- 周辺環境
- 施工延長
によって、最適解は変わります。
重要なのは、
「工法ありき」
ではなく、
「現場条件ありき」
という考え方。
そしてそのためには、
- 調査力
- 診断力
- 施工経験
- 現場対応力
が必要になります。
■ 下水道維持管理は“施工力”の時代へ
これからの下水道維持管理では、
単に「工法を知っている会社」ではなく、
“現場で対応できる会社”
が求められる時代になります。
反転形成工法も製管工法も、どちらも優れた技術です。
ですが大切なのは、
「どの工法を使うか」
ではなく、
「どう維持していくか」
という視点。
下水道維持管理は今、
“調査+診断+施工”
を一体で考える時代へ進んでいます。

