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下水道管路と人孔調査における潜行目視とは?
豆知識
2025.03.18
潜行目視とは
下水道の維持管理において、管路や人孔(マンホール)の状態を正確に把握することは非常に重要です。その中でも、潜行目視(せんこうもくし)調査は、実際に作業員が下水道管内に入り、直接目で見て点検を行う調査方法です。
この調査は、老朽化した下水道管や接続部の異常を詳細に確認するために行われるものであり、特に高度な判断や精密な点検が求められる場面で活用されます。
潜行目視調査の目的
潜行目視調査は、以下のような目的で実施されます。
下水道管の劣化・損傷の確認
- ひび割れや破損の有無
- 摩耗や腐食の程度
- 管のズレや変形
漏水や浸入水の特定
- 管路のつなぎ目や接合部からの水漏れ
- 地下水の流入による影響
堆積物・異物の確認
- 泥や砂の堆積状況
- ゴミや異物の詰まり
- 油脂やスケール(固形化した汚れ)の付着状況
人孔の状態の確認
- 内部の損傷や劣化
- 継手部分のズレやひび割れ
- 人孔内のガス濃度や安全性チェック
異常箇所の詳細記録
- 修繕が必要な場所を特定し、補修計画に役立てる
- 長期的な維持管理のための基礎データ収集
潜行目視調査の実施方法
潜行目視調査は、高い安全基準のもと、慎重に行われます。 具体的な手順は以下の通りです。
① 事前準備
- 対象管路の選定と調査計画の策定
- 安全対策の確認(酸欠・有毒ガス・落下防止)
- 調査機材・保護具の準備(防水服・酸素濃度計・照明機器など)
- 必要に応じて通行止めや交通整理の準備
② 安全確保と環境確認
- 人孔を開放し、ガス濃度を測定(硫化水素・メタン・酸素濃度など)
- 酸欠や有毒ガスが検出された場合は換気作業を実施
- 作業員は安全帯(ハーネス)を装着し、命綱を確保
- 必要に応じて送風機を設置し、換気を強化
③ 潜行開始
- 作業員が安全に管内に降下し、歩行・移動しながら調査
- 異常個所を目視で確認し、詳細な記録を作成
- 写真撮影や動画記録を行い、後の解析に活用
- 必要に応じて測定機器を使用し、ひび割れの深さや管の変形を数値化
④ 記録・報告
- 調査結果を報告書にまとめる
- 補修や清掃が必要な箇所をリストアップ
- 今後の維持管理計画に反映
潜行目視調査のメリットと課題
✅ メリット
詳細な情報収集が可能
- TVカメラ調査では確認しづらい細かなひび割れや異常を直接目視できる。
即座に対応できる
- その場で簡易補修や応急処置が可能。
人孔や接続部の精密なチェックが可能
- カメラでは見えにくい部分も直接確認できる。
⚠ 課題・注意点
作業員の安全確保が最優先
- 酸欠・有毒ガス・落下のリスクがあるため、慎重な準備が必要。
調査できる範囲が限られる
- 人が潜行できる大きさの管路に限定される。
コストと時間がかかる
- 設備や人員の確保、事前準備にコストがかかるため、適用範囲を慎重に選定する必要がある。
まとめ:潜行目視調査の重要性
潜行目視調査は、下水道管や人孔の詳細な状態を直接確認できる貴重な調査手法です。
TVカメラ調査や地中レーダー探査と組み合わせることで、より精度の高い診断が可能になります。
特に、老朽化が進んだ下水道インフラを適切に維持管理し、突発的な陥没事故や漏水事故を防ぐためには、定期的な潜行目視調査が欠かせません。
安全対策を徹底しながら、適切なタイミングで潜行目視調査を実施することで、下水道インフラの長寿命化と事故防止に貢献できます。