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人孔の施工年代別に見る、典型的な劣化パターン集

昭和〜平成初期・材質別・構造別に見る傾向と対策

マンホール(人孔)は、下水道構造物の中でも目視でアクセスしやすく、劣化の“兆候”が現れやすい構造です。

しかし、その構造や材質は時代によって大きく異なり、それに応じた劣化パターンや補修方法も変化しています。

本記事では、施工年代別の人孔構造と典型的な劣化傾向を整理し、

今後の点検・補修判断に役立つ“時代別リスクの目利き力”を高めていきます。


1. 昭和40〜50年代施工の人孔|典型:現場打ちコンクリート型

🔨 主な特徴

  • 躯体は鉄筋コンクリート(RC)製
  • 型枠+現場打設による施工
  • 打継ぎ部が多く、接合部精度にバラつきあり
  • 設計基準・使用資材も現在と比べて粗め

🔍 典型的な劣化

 

劣化症状 原因
打継ぎ部からの漏水・白華 接合精度の甘さ、経年による浮き
内壁面の中性化・浮き セメントの劣化、鉄筋腐食
管口周辺の段差・剥落 地盤変位+接合部の構造的弱さ
蓋周辺の沈下・ズレ モルタル支持+舗装変状の影響

🛠 対策例

  • 白華・漏水:エポキシ系止水材注入
  • 打継ぎ部:Vカット再施工+コーキング
  • 内壁剥離:モルタル補修+中性化抑制剤散布

2. 昭和60〜平成初期施工|典型:プレキャストセグメント型

🔨 主な特徴

  • プレキャスト(工場製)躯体を現場で積層
  • 合成ゴム製の止水材による接合が主流
  • 躯体精度は高いが、接合部の止水性能に経年劣化リスク

🔍 典型的な劣化

 

劣化症状 原因
止水材の劣化・硬化 ゴム製品の経年変質
セグメント継手からの漏水 地盤沈下・構造変動
接合部の白華 微細な隙間からのにじみ出し
浮上・段差 地震・地下水圧による浮き上がり現象

🛠 対策例

  • ゴム止水材:交換 or 止水注入材で二次止水
  • 継手:表面仕上げ・エポキシ充填による密封
  • 段差:蓋部の再レベル調整、補強リング施工

3. 平成10年代以降施工|典型:高耐久プレキャスト+一体型

🔨 主な特徴

  • RC構造の高耐久型プレキャスト躯体
  • 接合部の止水性・強度に優れた製品多し
  • 一体型人孔(インテグラルマンホール)も普及
  • ✅ 状態は良好なケースが多いが…
  • 施工不良・地盤条件の悪い箇所では異常発生
  • 雨水人孔・合流人孔などは流入水により白華進行の傾向あり

🛠 対策

  • 基本は経過観察中心でOK
  • クラック・にじみには早期補修を推奨

4. 材質別・構造別の劣化傾向(一覧)

 

材質・構造 劣化しやすい箇所 優先対策
現場打RC構造 打継ぎ部・管口・底版 止水補修・Vカット・内面塗布
セグメント型 継手部・ゴム止水 注入補修・止水強化
一体型 蓋部周辺・段差 モルタル補強・浮き対策
モルタル巻き仕上げ 内壁全体 剥離・中性化対策が重要

5. 調査・点検時の“施工年代別チェックポイント”

 

年代 重点チェック箇所
昭和40〜50年代 打継ぎ部・白華・段差・浮き・沈下
昭和60〜平成初期 継手の止水状態・接合部ズレ・白華
平成10年代以降 クラック・蓋部変状・外力による損傷

→ 調査記録には「施工年代」も付記し、同年代の施設との比較検証を推奨!


まとめ:施工年代を知れば、劣化の“先読み”ができる

人孔の点検では、「どこを重点的に見るべきか」が分からず、

漫然と観察・写真撮影だけで終わってしまうケースが少なくありません。

でも、施工年代と構造様式を把握すれば、その年代特有の“劣化のパターン”が分かるようになります。

つまり――

“見える異常”だけでなく、“起きやすい異常”を先読みする目が養われるのです。