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管路調査と人孔調査、どちらを優先すべき?
限られた予算での戦略的調査順序の考え方
下水道の維持管理において、「調査は大事だ」とはわかっていても、予算や時間には限りがある――
そんな中、「管路調査」と「人孔調査」のどちらを優先すべきか、判断に悩む場面は多いものです。
結論から言えば、調査の目的と施設のリスク状況によって優先順位は変わるべきです。
この記事では、実務で判断を迫られたときに役立つよう、
管路調査と人孔調査それぞれの役割、判断基準、優先順位の分かれ道をわかりやすく解説します!
1. そもそも「管路調査」「人孔調査」とは?
📘 管路調査
対象:下水道管渠(主に道路下)
方法:TVカメラ調査、音響調査、スクリーニング調査など
目的:
➔ 管内部の劣化(クラック・破損・浸入水など)の把握
➔ 更生・補修設計のための基礎データ取得
📘 人孔調査
対象:マンホール構造部(開口部・躯体・管口部など)
方法:目視点検、ミラー調査、ガス測定、打音検査など
目的:
➔ 打継ぎ部、管口部、蓋部の劣化・漏水・沈下リスク把握
➔ 管路・地盤沈下リスクの早期発見
2. どちらを先にやるべき?【原則編】
調査対象 | 優先すべき場面 |
---|---|
人孔調査 | インフラ事故防止(陥没・蓋浮上・漏水) |
管路調査 | 全体的な老朽化把握、補修・更生計画の立案 |
つまり――
短期的リスク対応・安全確保が目的 ➔ 人孔調査優先
中長期的な維持管理・資産評価が目的 ➔ 管路調査優先
という考え方が基本です!
3. 判断の分かれ道【ケーススタディ】
📍 ケース① 苦情・事故が多発しているエリア
例:陥没クレーム・雨天時マンホール蓋からの噴出・沈下苦情
✅ この場合は【人孔調査】を最優先!
管口部・打継ぎ部の劣化→陥没直結リスク
蓋周りのズレや沈下→安全事故に直結
→ まず人孔構造の健全性を確保する。
📍 ケース② 施設全体の更新計画を作りたい
例:アセットマネジメント、計画的な更生事業立案
✅ この場合は【管路調査】を先行!
管全体の劣化ランク評価が必須
TV調査やスクリーニングで広範囲の現状把握が必要
→ 管路健全度マップを作り、優先更新エリアを選定する。
📍 ケース③ 小規模自治体・調査予算が限られている
例:調査費数百万円規模、対象施設も絞り込み必要
✅ ハイブリッド提案が有効
まず人孔だけ目視+管口カメラで簡易スクリーニング
異常発見時のみTV調査へ進展
→ 最小限の費用でリスク抽出+次年度計画へつなぐ。
4. まとめ:目的に応じた「戦略的な調査選択」を
調査資源が限られている中では、
すべてを網羅的に調べる
一律に決め打ちする
というやり方では、結果的にコストが膨らみ、リスクを見逃してしまう恐れもあります。
だからこそ、
「今、何を防ぎたいか」
「どんな成果を求めるか」
を明確にし、
戦略的に“どちらから調査するか”を判断することが大切です。
これが、維持管理計画を成功に導く最初の一歩になります!