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お知らせ

圧縮強度試験の基本と測定手順

供試体の作り方から評価まで

「この構造物、本当に強度が足りているのか?」

そんな疑問に対して、最も信頼性の高い判断材料となるのが圧縮強度試験です。

コンクリートの強さを直接測るこの試験は、新設工事だけでなく、既存構造物の劣化調査や補修設計の判断にも活用されます。

この記事では、圧縮強度試験の原理・供試体の採取・試験手順・結果の読み方・現場での活かし方を分かりやすく整理します。


1. 圧縮強度試験とは?

📌 試験の目的

コンクリートの**圧縮に対する抵抗力(=耐力)**を数値で把握する

設計時の強度(呼び強度)に対して、施工後や既設構造物がどの程度保たれているかを確認する


2. 試験体の種類と調達方法

✅ 新設の場合:供試体(テストピース)を作製

種類 内容
円柱型供試体(φ100×200mmまたはφ150×300mm) モルタル型に生コンクリートを充填
キュービック型供試体(100mm角など) 小規模用・簡易強度確認向け

養生期間を経て、28日後に圧縮試験を実施するのが基本


✅ 既設構造物の場合:コア供試体を採取

既存の壁面やスラブからコアドリルで切り出す

周辺に鉄筋がない部位を選ぶ(誤差防止)

注意点 内容
水平 or 垂直方向の違い 荷重方向と一致させる
表層の劣化影響 端部カット or 補正で対応
最低サイズ φ50mm以上、L/D(長さ/径)=1.0〜2.0が望ましい

3. 圧縮試験の流れ(JIS A 1108準拠)

🧪 STEP1:供試体の準備

表面を平滑に加工し、両端が水平で平行な状態に整える

サイズ・湿潤状態・含水率を記録

🧪 STEP2:試験機にセット

上下の圧縮盤に供試体を正確に垂直設置

🧪 STEP3:圧縮荷重を徐々に加える

試験機で1分あたり0.25MPa/s前後の速度で荷重を加圧

🧪 STEP4:破壊時の最大荷重を記録

供試体が破砕・割裂した時点の荷重(kN)を記録

断面積から圧縮強度(N/mm²またはMPa)を算出


4. 圧縮強度の評価基準

コンクリート用途 基準強度(例)
一般的な人孔・マンホール 21〜24 N/mm²
下水処理場スラブ 27〜30 N/mm²
プレキャスト部材 35 N/mm²以上
更生材や特殊モルタル 材質による(30〜50 N/mm²)

※既設コアでの再評価は、原設計強度の80〜90%を目安に判断されることが多い


5. 現場での注意点と失敗例

よくあるミス 対策
コア採取時に鉄筋を傷つける ➤ 事前にレーダーで鉄筋位置を確認
試験面が平行でない ➤ グラインダーで端面を加工 or 修正プレートを使用
養生が不適切で試験結果が低い ➤ 湿潤布+ビニールで養生期間を確保
サイズ補正を忘れる ➤ φ50以下・高さが小さい場合は換算補正が必要

6. 試験結果の活かし方(実務編)

補修・補強の要否判断

更生工法選定の耐力条件として使用

中性化や腐食進行との相関評価(劣化評価スコア化)

維持管理計画での“補修優先度ランク付け”にも応用可


まとめ:圧縮強度は“設計値と実態”をつなぐカギ

圧縮強度試験は、もっともベーシックでありながら、信頼性の高いコンクリート評価手法です。

✅ 新設時:28日強度で「施工精度」を検証

✅ 既設構造:コアで「劣化の実態」を数値化

✅ 他の試験(中性化・反発硬度)と組み合わせて、総合的な判断材料に!