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現場コンクリートの強度って測れる?
コア採取による評価法とは
現場で「コンクリートの状態が気になる」「補修・補強の判断が必要」となったとき、
実際の強度がどれくらい残っているかを把握することが重要です。
そんなとき頼りになるのが、「コア供試体による圧縮強度試験」。
この記事では、その評価方法を具体的に解説します。
1. コア採取とは?基本の考え方
🌀 コア供試体とは
コンクリート構造物から円柱状のサンプル(コア)を採取
専用のコアドリルで壁・床・天井部などから切り出す
🎯 なぜコアで強度が分かるのか?
圧縮強度試験で破壊荷重を測定し、N/mm²で評価
現場打ちコンクリートの**“実力値”を数値化**できる
2. どんな場面で使われるの?
✅ コア採取が必要なケース
シーン | 説明 |
---|---|
補修・補強の検討前 | 実際の耐力確認により、無駄な補強を避けられる |
中性化・ひび割れが確認されたとき | 劣化の深さと強度低下の相関を把握 |
更生工法の選定 | 内面補強 vs 全面更生の分かれ目として |
トラブル案件(沈下・剥落など) | 原因調査の根拠として強度測定 |
3. 採取手順と必要機材
🔧 使用機材
コアドリル本体(φ50〜φ100推奨)
電動/エンジン駆動式モーター
冷却水供給装置(熱防止)
水受け or 吸引装置(下水施設内では重要)
測定具(ノギス・巻尺・水準器)
🧪 採取手順(現場作業)
鉄筋レーダーで鉄筋位置を確認
➤ 鉄筋を避けて採取(誤差防止・躯体破損防止)
位置をマーキングし、ドリルで穿孔
➤ φ50~100、長さ100~200mm程度が一般的
慎重に引き抜き、端面を整形・記録
➤ 両端を平滑に加工、湿潤布+ビニールで養生保管
試験機にて圧縮強度を測定
➤ JIS A 1108に準拠した試験方法で強度を算出
4. 圧縮強度の評価と換算方法
試験項目 | 評価方法 |
---|---|
最大荷重(kN) | 試験機で記録 |
圧縮強度(N/mm²) | 荷重 ÷ コア断面積 |
補正係数 | コア径/高さの比率、湿潤状態などに応じて補正 |
✅ L/D比(高さ/径)が1.0〜2.0の間が望ましい
✅ φ50以下の小型コアでは約0.9〜0.95の補正係数を掛けるのが一般的
5. 結果の評価基準と活かし方
📈 評価基準(目安)
圧縮強度 | 判定目安 |
---|---|
≧30 N/mm² | 健全、補修不要 |
20〜30 N/mm² | 要経過観察、部位限定で補修検討 |
<20 N/mm² | 補修・更生を強く推奨 |
※原設計値や用途(人孔・スラブ等)と比較して評価
6. 現場での注意点
リスク | 対策 |
---|---|
鉄筋切断による構造影響 | ➤ 必ず事前に鉄筋探査を行う |
水処理・養生の不備 | ➤ 吸水→強度低下を防ぐため密封養生が必要 |
供試体が小さすぎる | ➤ φ50mm以上、長さ100mm以上を確保 |
📌 特に下水施設では湿潤環境・制限空間に注意!
まとめ:コア採取は「見えない性能」を数値で証明する方法
コア採取は、非破壊では得られない“現場のリアルな強度”を確実に測定できる唯一の方法です。
✅ 補修・更生の要否判断に説得力を
✅ 強度劣化の進行度を中性化・ひび割れとあわせて読み解く
✅ 記録としても長期の維持管理計画に活用できる