お知らせ
目視+簡易調査で鉄筋腐食を推定する現場チェックポイント
壊さずに見抜く!実務で使える“劣化サイン”の見つけ方
「このマンホール、外からは綺麗だけど、本当に鉄筋は大丈夫なのか…?」
そんな場面で頼りになるのが、**目視+簡易調査による“異常の兆候チェック”**です。
今回は、破壊せずにできる鉄筋腐食の見極め方法として、次の3ステップで詳しく解説していきます👇
① 腐食のサインを目視で拾う
② 打音・反発硬度などの簡易調査で深度を探る
③ 総合評価で“要補修か否か”を判断する
1. 腐食のサインは“表面”に出る!目視確認の基本
✅ 1-1 錆汁の有無
茶褐色の流れ跡や染みがある場合、内部鉄筋の腐食が進行中の可能性が高い
特にマンホール壁面の打継ぎ部・ステップ周辺・巻立て部で見られる
✅ 1-2 ひび割れ(クラック)の観察
幅 | 推定内容 |
---|---|
~0.1mm | 乾燥収縮や施工収縮の可能性あり |
0.1~0.3mm | 腐食に伴う膨張圧がかかっている兆候 |
0.3mm以上 | 爆裂・剥落リスク高。補修検討必須 |
📌 縦割れ・横割れの方向や、連続性も観察ポイント!
✅ 1-3 白華(エフロレッセンス)
コンクリート表面に白い粉状または結晶状の析出物がある場合
→ 水分の通過+内部鉄筋周辺の劣化が疑われる
✅ 1-4 剥離・浮きの兆候
表面が膨らんでいたり、打音で“ボンボン”と鈍い音がする箇所は要注意
→ 内部で腐食→体積膨張→表面押し出し が起きている可能性
2. 簡易調査による補足判断(非破壊評価)
✅ 2-1 打音調査
鉄筋周辺のコンクリートが浮いていると「こもった音」「低い音」が返る
斫らなくても**“浮き”や“剥離”の兆候を把握可能**
📌 全面を叩くのではなく、継手・管口・ステップ周辺など重点確認
✅ 2-2 反発硬度試験(シュミットハンマー)
表層の劣化(中性化・ひび割れ)により、反発力が小さくなる
圧縮強度の推定にもつながる
目安 | 状態 |
---|---|
R≧35 | 健全 |
R=25〜35 | 劣化進行中の可能性 |
R≦25 | 補修・更生の検討推奨 |
✅ 2-3 中性化簡易試験(削孔+フェノールフタレイン)
打継ぎ部やコア露出面に試薬を噴霧し、発色を見る
無色化していれば、鉄筋が腐食環境に晒されている状態
📌 削孔が必要なので“半破壊”扱いだが、非常に有効な評価法
3. 記録と報告の工夫:現場で使えるチェックシート例
項目 | 状態 | 備考 |
---|---|---|
錆汁 | あり/なし | 位置・長さ・方向を記録 |
クラック | 0.1mm/0.3mm/0.5mm超 | クラックスケールで測定 |
打音結果 | 異常音/健全音 | 音の位置・範囲を図で記録 |
反発硬度 | R=32 | SDカード記録 or 手書き転記 |
中性化深さ | 15mm | 鉄筋かぶりと比較して判断 |
📸 写真・スケール・チョークマークで**“誰が見ても分かる”記録**を残すことが重要!
まとめ:腐食の兆候は“静かに、確実に”現れる
鉄筋腐食は、爆裂や崩壊として現れる前に、
✅ 表面のサイン
✅ 小さな音の変化
✅ 数値の揺らぎ
として、確実に兆候を出しています。
その“サイン”を拾えるかどうかが、
構造物の延命・予防保全・補修コストの最小化に直結します。
📌 壊さずに見抜く力=インフラ管理者の眼力。
点検+簡易試験を活用し、データと感覚の両方から腐食を推定していこう!