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💧 下水道の漏水、どう止める?|Vカットだけではない「薬液注入による止水工法」
🚧 下水道の止水工事には、さまざまな方法がある
下水道管渠や人孔を調査していると、避けて通れないのが漏水です。
ひび割れ。
打継部。
管口。
目地。
構造物の欠損部。
地下水位の高い場所では、わずかな隙間からでも地下水が構造物内部へ浸入してきます。
こうした漏水に対して行われるのが、
「止水工事」
です。
市川建設でも、これまでVカットによる止水やY字管を利用した注入工法など、現場条件に合わせた止水を行っています。
しかし、
下水道の止水方法は、それだけではありません。
今回はG-MENが注目する、薬液を注入して漏水経路そのものを塞ぐ止水技術を紹介します。
🔨 まず知っておきたい「Vカット」との違い
Vカット工法では一般的に、漏水しているクラックや目地部分をハツリ・切削し、止水材などを充填して処理します。
実績のある重要な方法ですが、
🔨 コンクリートをハツる
🧹 撤去・清掃する
🧱 止水材を充填する
👷 表面を仕上げる
といった工程が必要になります。
一方、今回紹介する注入止水は考え方が違います。
「漏水箇所周辺へ孔をあけ、薬液を内部へ注入する」
方法です。
つまり、大きくV字状にハツって処理するのではなく、小径の削孔部から薬液を送り込み、コンクリート内部の水みちや隙間へ充填するという考え方です。
💉 ① 水と反応して発泡・固結する「ハイドログラウト」
まず紹介するのが、ハイドログラウト研究会の
「ハイドログラウト」
です。
ハイドログラウトAは、公式情報では、
加水反応型の一液発泡ウレタン系注入材
とされています。
水や湿気と反応することで独立発泡型の半硬質固結体を形成し、漏水経路を塞ぎます。
ここが非常に面白いところです。
💧 「水があること」を利用して止める
漏水現場では当然、水が流れています。
ハイドログラウトAは、その水との反応を利用して硬化する材料です。
注入した薬液が水や湿気と反応。
↓
薬液が発泡。
↓
隙間へ広がる。
↓
固結体を形成。
↓
💧 漏水経路を塞ぐ
という仕組みです。
メーカーによると、膨張圧によって微細な隙間まで圧入できることを特徴としています。
⏱️ 硬化時間も現場条件に合わせる
止水工事では、
「どのくらいの時間で薬液を固めるか」
も重要です。
早すぎれば必要なところまで薬液が回らない。
逆に遅すぎれば、水に押されて流れてしまう可能性があります。
ハイドログラウトAでは促進触媒を使用し、公式の一般的な配合例では、夏季で約1~3分、冬季で約2~4分の硬化時間が示されています。
ただし実際の硬化時間は、水量や水温などによって変化します。
つまり、
漏水状況を見ながら、材料の反応をコントロールする施工技術
も重要になるということです。
💦 ② 漏水量が多い現場にも対応する「バンデックスフレキシン」
そしてもう一つ注目したいのが、
「バンデックスフレキシン工法」
です。
こちらは公式情報によると、
極めて低粘度のアクリル系二成分合成樹脂を、専用注入機を使って高圧注入する止水システム
です。
G-MENとして特に注目したのは、
滲む程度の微量漏水から、吹き出してくるような多量漏水まで、多様な漏水現象への対応をうたっている
ことです。
これは地下水圧の影響を受ける下水道構造物では非常に興味深い特徴です。
📡 約45°で削孔し、内部へ高圧注入
標準施工例を見ると、バンデックスフレキシンでは漏水しているひび割れに対して、左右または上下から約45°の角度で削孔します。
そして特殊な注入ノズルを設置。
専用機器を使って樹脂を注入します。
イメージとしては、
💧 漏水しているクラック
↙️ ↘️
🔩 周囲から斜めに削孔
↓
💉 特殊ノズルをセット
↓
📡 樹脂を高圧注入
↓
🧱 クラック・隙間へ充填
↓
💧 止水
という流れです。
つまり、表面だけを塞ぐのではなく、
コンクリート内部の漏水経路へ材料を送り込む
という考え方です。
🧪 水と接触すると約200%体積膨張
バンデックスフレキシンでもう一つ興味深いのが、硬化した樹脂の性質です。
メーカーによると、樹脂は水と接触することで約200%まで体積膨張し、40%圧縮後も100%復元する弾性を持つとされています。
これは止水にとって重要です。
コンクリート構造物は、施工後も温度変化や荷重などによって微細に動きます。
完全に硬い材料だけでは、再びひび割れが開いた際に漏水が再発する可能性があります。
一方で弾性のある材料なら、
構造物の微細な動きへ追従しながら止水する
ことが期待できます。
⏱️ 10秒~4分までゲルタイムを調整
さらにバンデックスフレキシンでは、現場条件に合わせて10秒~4分の範囲で重合硬化時間を調整可能とされています。
例えば、
💦 水が勢いよく出ている
→ 短時間で硬化させる
🔍 微細なひび割れの奥まで入れたい
→ 硬化時間を長めにする
という施工が考えられます。
止水工事では、単に「強い材料を入れれば止まる」というわけではありません。
「どこから水が来ているのか」
を判断し、
「どこまで薬液を回すのか」
を考えることが重要です。
🔍 2つの注入止水は同じものではない
ここは誤解しないようにしたいところです。
今回紹介した2つは、どちらも「薬液注入による止水」ですが、材料特性が異なります。
| ハイドログラウトA | バンデックスフレキシン | |
|---|---|---|
| 主な材料 | 一液発泡ウレタン系 | アクリル系二成分合成樹脂 |
| 特徴 | 水と反応して発泡・固結 | 低粘度樹脂を高圧注入 |
| 材料特性 | 半硬質固結体 | 親水性高弾性樹脂 |
| 硬化調整 | 促進触媒で調整 | 10秒~4分で調整可能 |
| 注目点 | 微細な隙間への充填 | 微量~多量漏水への対応 |
どちらが優れているという話ではありません。
「漏水状況に応じて、適切な材料・工法を選択する」
ことが重要です。
🚧 Vカットが不要になるのか?
ここも重要です。
注入止水があるからといって、
「今後Vカットは必要ない」
ということではありません。
漏水箇所。
クラック幅。
地下水圧。
コンクリートの状態。
漏水経路。
構造物の動き。
施工スペース。
こうした条件によって適切な方法は変わります。
例えば表面劣化や欠損を伴っていれば、Vカットや断面修復と組み合わせるケースも考えられます。
一方、
「大きくハツらず、注入によって水みちそのものを止める」
という選択肢を持っていることは、現場技術者にとって大きな武器になります。
💡 G-MENが考える「止水工事の選択肢」
下水道の漏水を見つけたら、
① どこから水が来ているのか?
↓
② 漏水量はどの程度か?
↓
③ 地下水圧はどの程度あるのか?
↓
④ クラック・目地・管口など、原因は何か?
↓
⑤ Vカット・注入・Y字管など、どの工法が適しているか?
↓
⑥ 必要なら複数工法を組み合わせる
という考え方が重要です。
つまり、
「漏水=この工法」
ではありません。
現場を見て、漏水の原因と水の動きを理解して工法を選ぶ。
これが止水技術の面白さであり、難しさでもあります。
👷 下水道維持管理会社に必要なのは「止水の引き出し」
下水道管渠の維持管理では、現場ごとに状況が違います。
少量の浸入水。
目地からの漏水。
クラックからの漏水。
管口からの漏水。
地下水圧によって噴き出している漏水。
同じ方法ですべて対応できるわけではありません。
だからこそ、
🔨 Vカット
💉 Y字管注入
🧪 ウレタン系注入
💦 アクリル系高圧注入
など、
複数の止水方法を持っている会社ほど、現場対応力が高くなる
とG-MENでは考えています。
⭐ POINT
止水工事で重要なのは、
「水が出ている場所を塞ぐ」
だけではありません。
本当に重要なのは、
「水がどこから入り、どこを通って出てきているのか」を考えること。
そして、
🔍 漏水原因を確認する
↓
💧 水みちを想定する
↓
🛠️ 適切な工法を選択する
↓
💉 必要な位置へ材料を注入する
↓
👀 止水状況を確認する
という施工が必要です。
「ハツって止める」だけではなく、「注入して水みちを止める」。
ハイドログラウトやバンデックスフレキシンのような注入技術を知ることで、下水道の止水工事にはさらに多くの選択肢が生まれます。
老朽化した下水道管渠が増えていくこれからの時代。
調査技術だけでなく、「見つけた異常をどう直すか」という補修技術も、さらに重要になっていくでしょう。
今後も、こうした現場で役立つ下水道補修・止水技術を紹介していきます。
🔗 今回紹介した技術
※本記事は各工法の公式公開情報をもとに、下水道維持管理における活用を現場の視点から整理したものです。実際の工法選定・施工条件については、構造物や漏水状況を確認したうえで各工法の仕様・施工要領等に従う必要があります。

