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町内の側溝掃除を楽して早く行う方法
側溝清掃は意外と大変!
住宅前に沿うように造られている側溝、汚れが溜まっていると悪臭を放ったり、害虫が発生したりすることもありますし、そもそも家の前はキレイにしておきたいところでもあります。
側溝は定期的に清掃を行うのが理想ですが、果たして自治体か町内、どちらが行うべきなのでしょうか?
側溝掃除の際に便利な道具や掃除を請け負ってくれる業者、費用など側溝掃除についてまとめていますのでぜひチェックしてみてください。
側溝清掃に使う道具
側溝掃除は俗に「どぶさらい」などとも呼ばれる作業です。
不衛生で大変な作業というイメージがありますが、放置してしまうことで汚れ(ヘドロ)などが溜まり、悪臭を放って住民やそこを通る人に不快感を与えるだけでなく、ボウフラなどの害虫が発生するきっかけにもなります。
また、ヘドロが溜まりすぎて流れが悪い側溝は大雨や台風の際に水を処理しきれず道路が冠水してしまうおそれもあるなど、放置しておくのは決して良いことではありません。
一般に、半年に1回~年に1回程度を目安に定期的に掃除を行うと良いと言われていますが、万が一の際に備えて、期間にこだわらず汚れが溜まっていると感じたら積極的に掃除をしておく方が良いでしょう。
側溝掃除の際にぜひ活用したいアイテムをいくつかご紹介します。
まずは「ジョレン(参考価格:674円)」です。
土砂をかき寄せるための道具をジョレン(鋤簾)と言いますが、側溝掃除用のジョレンも数多く販売されています。
ひとかき寄せるだけで汚泥やゴミなどを掬えるため一般的に広く用いられている便利な道具ですが、汚泥などが水っぽいと思うように掬えないという欠点もあります。
そんな時は田邊社の「かんたん側溝清掃器(参考価格:7,280円)」のような横に水切り穴が付いていて、2方向から掬うことができるタイプが便利かもしれません。
また、側溝の上にはフタが被せられていることがほとんどです。
成人男性がいれば力で持ち上げてもらえますが、女性だけの現場では一つ一つ持ち上げて移動させるのは大変ですし、腰を痛めたり落下させたりなど怪我などのリスクも高くなります。
そこで活用したいのが「どぶ太郎君(参考価格:6,800円)」のような側溝のフタ持ち上げツールです。
少々金額が張りますが、33cm~60cmまで4サイズのフタに対応していますし、立ったままの姿勢でラクラク持ち上げることができますのでヒザや腰にかかる負担も大幅に軽減できるでしょう。
もう少し費用を抑えたいという場合はシンプルな「こじあけテコバール(参考価格:2,738円)」でも良いかもしれません。
そして、忘れてはならないのが掬ったヘドロなどを入れる土のう袋です。
ホームセンターなどでも普通に購入できますが、目が粗いものは染み出してしまう可能性もありますので注意が必要です。
土のう袋を支えてくれる人がいれば良いのですが、もし1人で作業をしなければならない場合は「土のう袋スタンド(参考価格:1,690円)」を利用すると良いでしょう。
フタを持ち上げる道具とヘドロなどを掬ってくれる道具、そして土のう袋。この3種類は側溝掃除に必需品と言えます。
側溝清掃を請け負ってくれる業者とは
悪臭を放ち不衛生なうえ、ヘドロで服や靴などが汚れてしまう可能性もある側溝掃除、できれば誰かにお願いしたいと思うものです。
そこで、自治体や町内会(自治会)以外で側溝掃除を請け負ってくれる業者はいないか探してみたところ、意外と多いことに驚きました。
便利屋・何でも屋と呼ばれる業者や、水道設備や水周りの専門業者、産業廃棄物処理業者、下水道工事や土木工事の請負業者など実に幅広い業種において、側溝掃除を請け負ってくれる業者がいることが分かりました。
立ち会いは誰が行うのか(ほとんどが不要と思われますが)、費用はだれがいつ支払うのかなど、事前に自治体あるいは町内できちんと話し合い取り決めをしておく必要がありますが、まとまるようであればお住いの地域のそうした業者に問い合わせてみても良いかもしれません。
側溝掃除を行う機械
先ほどご紹介した道具を駆使しても、やはりフタを移動させてヘドロを掬って持ち上げて、土のう袋に入れて、さらにその土のう袋を運んで…と繰り返すのは大変な労力を必要とします。
普段から体を動かしている人ならまだしも、こうした上下運動に慣れていない人は腕が筋肉痛になったり、ヒザや腰を痛めてしまったりするリスクがあります。
そんな人のために、側溝掃除を助けてくれる機械をご紹介します。
ただ、使用頻度や用途が限られていますので、1万円オーバーとなると個人で購入するには少し難しい面があるかもしれません。
町内で話がまとまれば購入を検討するという流れが良いでしょう。
ヘドロをある程度掬ったあと、側溝の底や側面などにこびりついた汚れを一気にキレイにしてくれるのが「高圧洗浄機(参考価格:23,490円)」です。
車のタイヤや足回りの洗車、外壁のクリーニングなどにも用いられていますので知っている方も多いと思いますが、最大吐出圧力350L/hと家庭用の高圧洗浄機にしてはかなり強力な水圧にも関わらず、高い静音性も兼ね備えています。
ホースが伸ばせない場合などは、23L大容量の「タンク式高圧洗浄機」が活躍してくれるかもしれません。
また、ヘドロを掬うのも難しい場合に活躍してくれそうなのが「ステンレスバキュームクリーナー(参考価格:11,800円)」です。
水や泥などを強力に素早く吸引してくれるバキュームクリーナーは、吸引したヘドロなどが外に漏れないようしっかり設計されています。
ヘドロを溜めておけるタンクは18Lの大容量ですので、吸引物を破棄する頻度も少なくて済みますし、キャスター付きですので移動も楽に行えます。
あるいは、こちらは産業用・公共事業用ですが四国地方整備局では函渠・側溝向けの「清掃機械」を開発しています。
*函渠とは横断面が四角くなっているいわゆる地下水路のことを言います。
この清掃機械ではスクリュー式、ネットコンベア式、トレンチャ式のタイプの異なる3種類のアタッチメントの中から実証実験を重ねてトレンチャ式を採用しているのですが、汚泥を掬い上げながらその場で水切りまでできてしまううえに、遠隔操作が可能なため作業員が函渠に入らなくても済み、作業効率や安全性が大幅に向上したとのことです。
一般的な側溝掃除への応用は難しいと思われますが、小型化されれば…と期待したくなる開発です。
側溝清掃の料金
側溝掃除を外注した場合、料金はどれくらいになるのでしょうか。
業者ごと、地域ごとなどによって異なりますし、また清掃する範囲や条件、現場周辺の環境などによっても変わってきますので、参考になってしまいますが、いくつか例をご紹介します。
例1:清掃業者
側溝の長さ50m、幅25cm、汚泥の厚さ平均5cm、交通誘導員不要の場合
- バキューム車1台:20,000円
- 高圧洗浄車1台:20,000円
- 作業料金:54,000円
- 産業廃棄物処分費用:25,000円
- その他諸経費:28,960円
合計147,960円
側溝の長さ50mはおよそ5軒分の長さになりますので、1軒あたりに換算すると29,592円ということになります。
例2:清掃業者
- 高圧洗浄機使用の場合:50mまで16,200円
- バキュームカー使用の場合:1,000Lまで8,100円
合計24,300円
ここに産業廃棄物処分費用が加算されます。
50mを超える、あるいは1,000Lを超える場合はそれぞれ別途見積もりが必要になります。
例3:清掃業者
- 作業員5名作業基本料:70,000円
- 汚泥処分費用:4,320円
- その他諸経費:5,600円
合計79,920円
この事例では側溝の長さ300m、フタ約500枚を開けての作業とのことですので、かなり良い条件と言えるかもしれません。
例4:便利屋
- 側溝内の不要物撤去および側溝内部の高圧洗浄:10mにつき15,000円
- 汚泥回収:40,000円
合計55,000円
便利屋や何でも屋と呼ばれる業者は文字通り何でも対応してくれる便利な業者ですが、不用品回収などもそうであるように比較的料金が高額になるケースが多いようです。
例5:清掃業者
- 側溝切り欠き:1mにつき1,500円
- 汚泥袋6袋目~:1袋につき1,500円(5袋までは無料)
- 4トン高圧洗浄車と4トンバキュームカー:1mにつき2,800円~7,000円
合計3,300円~
ミニマル料金は安いように思えますが、1mごと、1袋ごとに追加費用が発生しますので、結果として高額になってしまう可能性があります。
このように、業者によって料金設定が異なりますが、いろいろ見てみると1軒あたり数千円~30,000円程度におさまるケースが多いように感じます。
側溝清掃で出る汚泥の処分方法
側溝掃除はヘドロを掬って終わりではありません。
集めたヘドロなどの汚泥を処分するという作業が待っています。
この汚泥などの廃棄物ですが、どのように処分すれば良いのでしょうか?
その前に廃棄物について少し触れておきますと、大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられます。
産業廃棄物とは
紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残渣
など、特定の業種に限定して産業廃棄物となるもの、および
燃え殻、汚泥、廃油、廃アルカリ、金属くず、廃プラスチック類、ガラスくず、コンクリートくず
など、業種を限定せずに産業廃棄物となるものがあり、一般廃棄物とは上記の産業廃棄物に該当しない廃棄物のことを言います。
こうして考えると汚泥は産業廃棄物ということになりますので、原則として産業廃棄物処理業者に引き取ってもらうことになります。
ただ、自治体によっては側溝の堆積物は土砂扱いとなり、そもそも廃棄物にあたらないとする見解を示しているケースも過去に確認されています。
そのため、町内または個人で側溝掃除をして発生した汚泥の処分方法については、念のため自治体に確認をしてみた方が確実と言えるかもしれません。
なお、産業廃棄物処理業者を選ぶ際の注意点ですが、必ず自治体の「産業廃棄物処理業」の許可を得ているか確認しましょう。
さらに、産業廃棄物の許可の中でも「汚泥の処理」の許可を得ているか、が一番肝心なポイントとなります。
悪質な業者では無許可であったり「一般廃棄物処理業」の許可しか得ていなかったりする場合があります。
料金が安いからなどの理由だけで違法業者に依頼してしまうと、不法投棄や不適正処理などの可能性が高くなります。
特に不法投棄は依頼者も罰則を受ける可能性が高くなりますので、十分に注意しましょう。
不慮のトラブルに巻き込まれないためにも「処分方法に迷ったら、まずは自治体に確認!」と決めておけば安心です。
側溝掃除は誰が行うべき?町内か自治体か?
ところで、この側溝掃除ですが、本来誰が行うべきものなのでしょうか?
私道は別ですが、側溝を含め公道は原則として自治体の所有物となりますので、本来であれば自治体が管理維持すべきものと言えます。
ですが、ほとんどの自治体はこうした維持管理を行っておらず、町内(自治会)に任せてしまっているというのが現状です。
そうかと言って「本来自治体が行うべき」と伝えたところでなかなか動いてくれないのもまた現実です。
各自治体の見解についてはこちらで確認できます。
こうして見てみると、清掃自体は各町内の自治会に任せて、汚泥などの処分についてはサポートしますという流れになっているのがほとんどのようです。
ここに関してはさまざまな感情があるかもしれませんが、やはり最もスムーズなのは「町内の自治会が率先して行う」ことかもしれません。
ただ、自治会についても現在賛否両論があるのをご存知でしょうか?
しっかり取りまとめてくれるリーダー的な人がいない町内の自治会の場合、意見がまとまらなかったり、率先して動こうとしなかったり、一部の人しか協力してくれなかったり、といったさまざまな問題が発生しています。
近所づきあいが減りつつある昨今ですから、自治会に無理に参加させたりすると近所の人間関係がぎくしゃくしてしまう可能性も否定できません。
もし町内で自治会を結成することが難しい場合は、有志を募って清掃作業を行う、というのが最良の方法になると思います。
側溝清掃は地元住民の協力が重要
今回は側溝掃除について、その費用や方法、あると便利な道具などについて解説してきました。
自分が住んでいる町ですから、いつもキレイにしておきたいですよね。
でも1人で行うことはできませんし、必ずしも町内の皆さんが協力的であるとも限りません。
それに、側溝掃除自体に関心がないという方も増えていると言います。
ですが、汚泥などを放置してしまえば冒頭でもお伝えしたように悪臭の原因になったり、害虫が発生したり、災害時に道路が冠水してしまったりなど良い影響を与えてくれません。
まずは近所の方と挨拶や世間話などをするタイミングで側溝掃除について触れてみるなどして、町内全体の側溝掃除に対する意識が高まってくれると良いですね。