お知らせ
下水道と微生物
自然界の汚れ(無機物や有機物)は、降雨などで河川に集まり水中の微生物により吸着・酸化・還元反応や分解されます。
私たちの社会生活で発生する汚れは、量が多く河川の自浄作用だけでは対応できません。
そこで、下水道施設の水処理センターでは微生物を活用して水の浄化を行っています。
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微生物を活用した処理
排水に含まれる窒素やリンは細菌類などに吸収され、それらの細菌類は小さな微生物が捕食します。
小さな微生物はより大きな微生物に捕食され、やがて塊となって沈殿し活性汚泥として水と分離されます。
有機物などの汚れを細菌類が捕食し、細菌類はどんどん増殖します。これらの細菌類を単細胞生物・原生動物が捕食します。
原生動物はより大きな原生動物や、多細胞の後生生物に捕食されこれらは塊になって下に沈みます。
これにより上澄みの水は綺麗になり放流されます。
微生物による処理を行うためには、流入する有機物の量や汚水のpH(中性域が最適)、水温、溶存酸素濃度、微生物の栄養源の無機物などの環境を常に整える必要があります。
水処理センターでの水温は東京工業大学の調査では、冬場は流入時も放水時も平均約18℃、夏場は流入時より放出時がやや高く約28℃。
夏場は処理水槽が屋外にあるため日差しによる温度上昇があるようです。
処理に適した水温は20~37℃とされていますので季節により上下するものの微生物の働く環境としては十分です。
一方、好気性微生物を処理に活用している関係から、汚水処理には多量の酸素が必要です。このためポンプにより空気を曝気槽で供給し、微生物たちの活動を支えています。
曝気槽の中には多様な細菌と原生動物などが活動し汚れを吸着・分解して塊となり、沈殿槽で沈んで活性汚泥として処理されます。
但し、この空気を曝気槽に送るポンプの消費電力は水処理センターの消費する電力の約6割になると言われており、省電力の取り組みが進められています。
また、豪雨などによる雨水が合流式などにより水処理センターに流れ込んだ場合には活性汚泥の濃度が下がり、大腸菌などが流出してしまうケースもあります。
一方、放流水に消毒で使用した塩素等が多く残っていると河川や海の環境に影響を与えてしまう場合も有ります。
放流水の状況についてもモニタリングと適切な管理が重要となっています。
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