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お知らせ

下水道の未来ビジョン

昨今の新型コロナウイルスのパンデミックとロシアによるウクライナ侵略によって国際協力によるSDGsの目標達成は非常に困難となってきました。

一方、気候変動には歯止めはかかっておらず平均気温の上昇や豪雨の増加などの気象リスクは増加しています。

このような状況では、より一層の脱炭素社会を目指しサステナブルな生活環境の整備が重要となります。下水道事業においても、総合的な水資源管理を行う次世代の下水道構築に向けた取り組みが進められています。

 

◆新下水道ビジョン

平成26年 7 月に国土交通省及び公益社団法人日本下水道協会により「新下水道ビジョン」が作成され、本年3月に一部改訂版が出されました。

この提言では下水道の今後の方向性や未来ビジョンを示すものとして、11 の技術開発分野ごとに技術開発の目標や技術開発の項目を記述したロードマップが設定されています。

ロードマップでは、当面の技術目標(5年)、中期技術目標(10年)、将来技術目標(20年)と段階的に目標を設定しています。

また、開発すべき技術や国・地方公共団体・企業の役割分担を示しました。

下水道は重要な社会資本であると同時に、快適な都市環境の維持と防災・減災・災害対応における役割を担っています。

一方、人口減少・少子高齢化・都市集中やインフラ設備の老朽化、行財政の疲弊、激甚化する気象災害、国際競争など多くの課題があることも事実です。このような状況の中で戦略的インフラマネジメントの一環として次世代下水道への取り組みが重要となっています。

 

◆次世代下水道

水資源の効率的活用はわが国だけでなく世界的な課題です。環境負荷を軽減し水資源の循環を図るために高度な技術開発が望まれています。

降雨が多く良質な水源に恵まれている我が国は「水資源高度利用の技術」とともに「良質な水資源の輸出」も新たな産業として期待することができます。

例えば触媒や微生物による水質浄化を処理施設だけでなく下水道の管きょ内で行うことで処理場での水質改善負荷を軽減する研究が行われています。

 

また、近年はロボット型の作業機材も現場で活躍するようになりました。下水管の敷設や点検時に大小さまざまな機器が活躍しています。人が通れる大きさから細い管路までシールドマシンや点検機器が運用されています。

汚水処理時の無機分の建材利用や肥料化、水素抽出、有用藻類の培養、微生物燃料電池の開発など汚水処理だけではない新しい分野への取り組みも進められています。

昨今では行政主導ではなく、ファシリティマネジメント分野の協会・有志・賛同企業により全国の高等専門学校生がインフラマネジメント技術のアイデア提案を行う「インフラマネジメントテクノロジーコンテスト」が毎年開催されています。

本年度の第三回コンテストでは呉高専・神戸市立高専の「都市を支える縁の下の力持ち〜渋滞×水害なんでもござれ!?」が優秀賞を受賞し、呉高専の「牡蠣殻を用いた持続可能な下水道事業の提案」が地域賞を受賞しました。未来を担う次世代も下水道に関心を持って新しい時代の水資源管理に取り組んでいます。

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