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新下水道ビジョン
下水道の未来像や今後の方向性を示すものとして2014年に「新下水道ビジョン」が国土交通省と公益社団法人日本下水道協会から公表されました。
新下水道ビジョンは、2005年に公表された「下水道ビジョン2100」を基に近年の社会情勢の変化などを踏まえて改訂されました。
また、本年6月に一層の取り組みを促進するため「下水道ビジョン加速戦略」の改訂が公表され、今後の取組みの導となっています。
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◆新下水道ビジョンの概要と取り組み
「新下水道ビジョン」は「下水道の使命と長期ビジョン」、「中期計画」で構成されています。
「循環のみち」を基本コンセプトに進められてきた下水道の取り組みを、「持続と進化」として位置づけています。
これは、ビジョン策定から9年経過する中で東日本大震災の発生や少子高齢化の進行、インフラ⽼朽化に伴うメンテナンスの状況、国・地⽅公共団体等における⾏財政の逼迫、海外における⽔インフラ需要の急増等の社会情勢の変化により見直しが行われたものです。
特に、下水道分野では施設の老朽化、人員確保やノウハウの継承、PPP/PFI等の事業主体の変化、ICTの急速な進化などが課題となりました。
さらに、2013年には度重なる災害対策として「強くしなやかな国⺠⽣活の実現を図るための防災 減災等に資する国⼟強靱化基本法」が、2014年には、「⽔循環基本法」、「⾬⽔の利⽤の推進に関する法律」が制定されました。
新下水道ビジョンでは下水道の四つの具体的使命が示されています。
「持続的発展が可能な社会の構築に貢献」するとの使命の下に、「循環型社会の構築」「強靭な社会の構築」「新たな価値の創造」「国際社会」に貢献することを定めています。
■循環型社会の構築に貢献・・・下水道が有する水・資源・エネルギー循環の機能を持続的かつ能動的に発揮していくことで、地域・世代を超えて、水・資源・エネルギーを量的・質的に健全に循環させる社会の構築に貢献する。
■強靭な社会の構築に貢献・・・下水道が有する汚水の収集・処理、雨水の排除または貯留といった機能を平常時はもとより、大規模災害(地震、津波、異常豪雨等)時においても強くしなやかに発揮し、持続的に提供することを通じ、国民の健康・生命・財産及び経済活動を保護・保全する強靱な社会の構築に貢献する。
■新たな価値の創造に貢献・・・下水道が有する膨大なストックや情報、質・量ともに安定した水・資源・エネルギーなどのポテンシャルを、幅広い分野との連携を深めつつ活かしていくことで、新しい価値を創造する社会の構築に貢献する。
■国際社会に貢献・・・我が国が培った下水道の技術や経験を活かし、世界の水問題の解決に貢献するとともに、国際的なビジネス展開を通じ、我が国の経済の持続的成長に貢献する。
◆「下水道技術ビジョン」と「新下水道ビジョン加速戦略」
下水道ビジョンの具現化に向けて下水道技術の開発普及のために「下水道技術ビジョン」が2015年に策定され本年6月に5回目の改訂が行われました。
「下水道技術ビジョン」では、11 の技術開発分野ごとに技術開発の目標や技術開発の項目を記述したロードマップを作成しています。
(1) 持続可能な下水道システム-1(再構築)
(2) 持続可能な下水道システム-2(健全化、老朽化対応、スマートオペレーション)
(3) 地震・津波対策
(4) 雨水管理(浸水対策)
(5) 雨水管理(雨水利用、不明水対策等)
(6) 流域圏管理
(7) リスク管理
(8) 再生水利用
(9) 地域バイオマス
(10) 創エネ・再生可能エネルギー
(11) 低炭素型下水道システム
新下水道ビジョンの実現加速の観点から国が選択と集中により5年程度で実施すべき施策をとりまとめた「新下水道ビジョン加速戦略」が2017年に策定され、本年6月に見直しが行われました。
前回令和元年度のフォローアップ以降、度重なる浸水害に対応する流域治水関連法の施行、地球温暖化対策推進法の改正等を踏まえた下水道事業としての対応が必要となっており、新型コロナウイルス感染症拡大への対応や地方自治体の人口減少・厳しい財政事情等への対応が背景となっています。
加速戦略の見直しでは近年の社会情勢を踏まえ、脱炭素化や水環境管理の推進等の取組を新たに位置付けるとともに、DXやアセットマネジメント、気候変動等を踏まえた防災・減災へと取組を拡大させました。
8つの重点項目の各施策の連携と『実践』、『発信』を通じ、産業を活性化させスパイラルアップを目指すとしています。
我が国で進行する少子高齢化・東京一極集中に加え、世界的には度重なる大災害や新型コロナウイルスの感染拡大、ウクライナ戦争などがSDGsの2030年目標達成を脅かしています。
このような状況で社会インフラとしての下水道事業の取り組みは重要であり、効率化・省力化・省エネ・地球環境への貢献など実現すべき課題に具体的な取り組みが産官学の連携によって推進されています。
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