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管路施設の修繕・改築の違いについて解説

 下水道は生活に欠かせない公共施設であり、24時間365日休むことなく機能させることが求められます。

施設の長寿命化を図るとともに、LifeCycleCost(LCC)に配慮して修繕あるいは改築を計画的に行う必要があります。

また、近年懸念されている直下型地震や南海トラフ巨大地震への対応や、気候変動による雨量の増加などにも対応する必要があります。

下水道施設の適切な維持管理は、ライフライン機能の継続性を高めるために欠かすことはできません。

 今回は適切な維持管理に欠かせない修繕・改築の違いについて解説します。

 下水道の管路は、使用されている材料自体の材質や強度の劣化、加重等による損傷、地盤の変動等による菅ズレや離脱、化学物質や生物学的要因による腐食など月日とともに老朽化が進行しています。

このような劣化を放置した場合、菅の耐用年数を大幅に縮小したり、地盤沈下などの二次的災害を引き起こすこともあります。

管路施設の標準的な耐用年数は50年ですので、現在使用されている下水道施設は次々と耐用年数となります。このため下水道施設は適切な修繕・改築が必要となります。

 「修繕」は問題が見つかった個所を部分的に補強あるいは交換する方法で、長寿命化対策工事を除きます。

 「改築」は、排水区域の拡張等に起因せず対象区間の管を再建築あるいは取り換えを行う方法です。改築には「更新」と「長寿命化対策」があります。

 管路施設の修繕・改築方法は大別して「開削工法」「非開削工法」に分類されます。

 

 「開削工法」は、地面を掘削し古い管を交換する方法です。

比較的浅い場所に設置する場合などに用いられます。

 「非開削工法」は、菅の内部から内側を補強したり更生管を挿入するなどして古い管内に新しい管を引き直します。

近年、都市部では水道・ガスの他に電気・通信等が埋設され、道路の交通量も多いことから大規模な開削による下水道工事は厳しくなっています。

修繕・改築の判定は、調査結果に対して管路施設の劣化の状況・規模、工事の経済性、今後の整備計画や耐震化などを考慮して検討する必要があります。

なお、調査結果の中で取付け管の突き出し、・油脂付着・樹木根の侵入・モルタル付着等については維持管理の範囲で対処する場合が大半です。

一方、管きょの腐食・上下方向のたるみ・逆勾配・マンホール部での逆段差・管の破損・管のクラック・管の接手ズレ・侵入水については修繕・改築での対応が行われます。

 

 修繕工法においては、「止水工法」「内面補強工法」「断面補修工法」「防食工法」などがあり、

 改築工法には「布設替工法」「更生工法」があります。

 

修繕工法

 「止水工法」は、管路施設に発生した地下水の侵入や漏水、またはこれらにより発生した管路に沿って作られた水みちや地盤のゆるみ、空洞などを充填剤等で閉塞し水密を確保する工法です。

 「内面補強工法」は、管きょ内の不良個所を修繕するため、不織布やケプラー繊維等に硬化性樹脂を含浸させた更生材を管きょ内面に圧着・硬化させて強度の増加・止水・耐久性を高める工法です。

 「断面補修工法」は、コンクリートの中性化防止と洗堀等による摩耗の修復を目的とし、モルタル等で修復する工法です。

 「防食工法」は、硫化水素ガス等によるコンクリート腐食の防止や中性化防止のために行われるもので、ライニング材や耐硫酸モルタル等で管きょのコンクリート表面に被覆層を形成し硫酸から管路を保護する工法です。

 

改築工法

 「布設替工法」は、更新工事として行われるもので、管路を掘削して行う「開削工法」と、掘進機により既存管きょを破砕して新設管を推進挿入する「改築推進工法」があります。

 「更生工法」は、長寿命化対策として行われるもので既存管きょ内面に新たに管を構築して流下能力を高める工法です。